書籍紹介

■ 研修医や学生をはじめ多くの読者に読み継がれている本書がグレードアップ.
■ ポイントを抑えた解説とユーモア溢れるコラム満載で楽しく学べる1冊です.
■ 研修医はもちろん,看護師や診療放射線技師,臨床検査技師まで,臨床に携わる医療者の皆さまにオススメです.
■ 写真223点 図版25点

三訂版序文

 本書の目的は,若い先生に楽しく麻酔科学を学んでいただくことです.同時に,麻酔科学に関する様々な事象をしっかり考えていただきたいという思いから,この三訂版を執筆致しました.
 人生では思わぬことが起こります.私の場合もふとしたきっかけで,麻酔科学の道に足を踏み入れていました.東大病院での麻酔研修で,花岡先生や諏訪先生に初めてご指導いただいたのが20年も前のことになります.当時はまだチオペンタールと筋弛緩薬だけで導入するような麻酔が主流でした.その後,高知大学で真鍋先生の下で勉強させていただきました.ちょうど留学から帰国したときに初期研修制度が開始され,高知大学附属病院麻酔科研修マニュアルを作製したことが,本書の初版執筆のきっかけでした.
 本書の初版を出版してから2年後に改訂版を上梓し,さらに5年が過ぎました.その間にも麻酔科学は日進月歩で大きく変化しました.デスフルランが登場してより早い覚醒が可能になりました.また,非脱分極性筋弛緩薬の拮抗薬としてスガマデクスが使用できるようになり,より安全で確実な筋弛緩のリバースができるようになりました.膠質液もボルベンが導入され,周術期の輸液療法も着実に進化しています.麻酔中にブドウ糖を投与することも,少しずつですが常識になりつつあります.ERAS(enhanced recovery after surgery)のプログラムも日本で次第に普及しています.術前の炭水化物負荷の意義についてはまだ十分に理解されていないようですが,とりあえず飲水制限も術前2時間に短縮されました.
 今回の三訂版の執筆にあたっては,飯島毅彦先生に共著者としてご参加いただきました.監修は諏訪邦夫先生と山下幸一先生にお願い致しました.この他,矢田部智昭先生にも有益なアドバイスをいただきました.深謝致します.
 麻酔科学を学ぶ若い先生方にとって,本書が少しでもお役に立てることを祈っています.

目次

Ⅰ.総論
序章 麻酔について
1. 麻酔とは何か
2. バランス麻酔とは
3. 新しい麻酔のトレンド
4. なぜ全身麻酔が必要なのか
5. 麻酔の要素
1.術前回診
1. 病棟に出かける前に
 a 氏名,性別,年齢,身長,体重,病名,手術名,手術体位,外科医の希望する麻酔方法
 b 血算,凝固系,生化学,尿検査,呼吸機能検査
2. 病棟に行って最初にすること
 a 一番に心電図と胸部単純X線写真を確認しましょう
 b 患者さんから問診しましょう
 c 診察をしましょう
 d 外科担当医と確認しておくことは?
 e 集めた情報を持ってオーベンのところへ行きます
 f オーベンと一緒に麻酔の説明のため病棟に行きます
2.麻酔薬についての基礎知識
1. 吸入麻酔薬
 a セボフルラン
 b デスフルラン
 c イソフルラン
 d 笑気ガス(亜酸化窒素)
2. 静脈麻酔薬
 a バルビツレート/チアミラールチオペンタール
 b ミダゾラム
 c プロポフォール
 d デクスメデトミジン
 e ケタミン
 f ドロペリドール
3. 鎮痛薬
A. オピオイド鎮痛薬
 a フェンタニル
 b レミフェンタニル
B. NSAIDs
 a フルルビプロフェン
 b イブプロフェン
 c アセトアミノフェン
4. 筋弛緩薬
 a ロクロニウム
 b ベクロニウム
 c スキサメトニウム/サクシニルコリン
 d スガマデクス
 e ネオスチグミン
5. 局所麻酔薬
 a リドカイン
 b メピバカイン
 c ブピバカイン
 d ロピバカイン
 e レボブピバカイン
 f テトラカイン
3.麻酔の準備
1. カートの準備
2. 麻酔器の準備
3. ソーダライムの交換
4. モニターの準備
5. BIS(bispectral index)モニター
6. 吸引セットの準備
7. 薬剤の準備
 a 必ず準備する薬剤
 b 必要があれば用意する薬剤
4.静脈路・中心静脈路・動脈ラインの確保
1. 静脈路の確保
 a どこから取るか?
 b 局所麻酔は必要?
 c 手順は?
 d 固定法は?
2. 中心静脈路の確保(全身麻酔導入後の内頸静脈の穿刺法)
3. 動脈ラインの取り方
5.麻酔導入
1. 入室と導入準備
2. 急速導入(rapid induction)
3. 緩徐導入(slow induction)
4. その他
 a 迅速導入(rapid sequence induction)
 b 意識下挿管(awake intubation)
6.気管挿管
1. 経口挿管の場合
 a 気管チューブの選択
 b 喉頭展開
 c 挿管操作
 d 挿管の確認法
 e 小児の挿管チューブの位置決め
 f 挿管困難
2. 経鼻挿管の場合
 a 気管チューブの選択と鼻腔へのアプローチ
 b 喉頭展開
 c 合併症と回避法
3. ラリンジアルマスクについて
 a ラリンジアルマスクの利点
 b ラリンジアルマスクの欠点
 c ラリンジアルマスクの適応
 d ラリンジアルマスクの挿入方法
4. 挿管補助器具
 a エアウェイスコープなど
 b その他の挿管補助器具
7.麻酔維持
 a 吸入麻酔による維持
 b セボフルラン,デスフルラン,イソフルランの使い分け
 c 静脈麻酔による維持
8.呼吸管理
 a 人工呼吸の条件
 b 呼吸管理の実際
9.循環管理
1. バイタルについて
 a 適切な輸液量
 b 血圧低下
 c 血圧上昇
 d 徐脈
 e 頻脈
2. 尿量について:尿量の最低量とは?
 a 尿量低下
10.輸液
 a 輸液の基礎知識
 b 実際の輸液スペース
 c 非手術時の維持量の目安
 d 周術期の輸液量
 e ブドウ糖の投与
 f マグネシウム
 g アミノ酸輸液
 h マンニトールの使用
11.輸血
 a 輸血製剤の単位について
 b 輸液製剤および輸血の目安
 c 輸血(赤血球濃厚液)を開始するタイミング
 d 自己血
 e 緊急大量出血時の対応
12.代謝・栄養管理
1. 周術期の栄養管理
13.周術期の筋弛緩とモニタリング
1. 筋弛緩モニタリング
 a モニタリングに適した筋肉
 b 刺激電極の場所
 c 刺激の種類
 d 筋弛緩からの回復の目安
2. 筋弛緩薬の投与
 a プライミング法(ベクロニウムの場合)
 b 手順(急速導入の一例)
 c 手術中の維持
 d 手術終了後・抜管後
14.覚醒
1. 麻酔維持の中止
 a 体温の確認
2. 筋弛緩からの回復・覚醒
 a 筋弛緩のリバース
 b ミダゾラムのリバース
 c フェンタニルのリバース
3. 抜管
 a 抜管の条件
 b 抜管の手順
4. 小児の覚醒
5. NSAIDsによる術後鎮痛
6. 手術室退室前に確認すること
7. 帰室の目安
8. 覚醒遅延の原因
9. 刺激せずに覚醒の程度を評価する方法
10. ベクロニウムもしくはロクロニウム・ミダゾラム・フェンタニルのリバース方法
11. レミフェンタニルを使用した場合の注意点


15.術後回診
1. 当日の術後訪問で確認すること
2. 翌日の術後訪問で確認すること
16.全身性疾患を有する患者の麻酔
1. 喘息
 a 麻酔に関わる薬
 b 発作時の対応
2. 高血圧
 a 高血圧の合併症
 b 周術期
3. 糖尿病
 a 周術期管理
4. 心筋梗塞
 a 麻酔のポイント
5. 肥満
17.脊髄くも膜下麻酔
1. 穿刺部位の選択
2. 穿刺針の選択
3. 体位
4. 薬剤
5. 手順
6. 脊髄くも膜下麻酔の合併症と禁忌症例は?
18.硬膜外麻酔
1. 穿刺部位の選択
2. 硬膜外腔の認識方法
3. 硬膜外腔へのアプローチ方法
4. 使用する物品と手順
 a 腰部硬膜外麻酔
 b 脊髄くも膜下硬膜外併用麻酔
5. 硬膜外カテーテルの挿入
6. 手術中の維持
7. 術後鎮痛
8. 硬膜外麻酔の合併症と禁忌症例は?

Ⅱ.各論
1.胸部外科の麻酔
1. 肺切除術
 a 基本確認事項
 b 注意点
 c 術前のチェックポイント
 d 麻酔方法
 e 手順
 f 注意点
2. 心拍動下冠動脈バイパス術
 a 術前のチェックポイント
 b 麻酔方法
 c 手順
 d 注意点
2.腹部外科の麻酔
1. 胃全摘術
 a 術前のチェックポイント
 b 麻酔方法
 c 手順
 d 注意点
2. 腹腔鏡手術(気腹式):腹腔鏡下胆嚢摘出術
 a 術前のチェックポイント
 b 麻酔方法
 c 手順
 d 注意点
3. 肝臓切除術
 a 術前のチェックポイント
 b 麻酔方法
 c 手順
 d 注意点
3. 整形外科の麻酔
1. 脊椎手術(腹臥位):頸椎椎弓形成術
 a 術前のチェックポイント
 b 麻酔方法
 c 手順
 d 注意点
2. 下肢手術(ターニケット使用):膝関節全置換術
 a 術前のチェックポイント
 b 麻酔方法
 c 手順
 d 注意点
3. 脊椎側弯症手術
 a 術前のチェックポイント
 b 麻酔方法
 c 手順
 d 注意点
 e まとめ
4.産科婦人科の麻酔
1. 基本確認事項
 a 循環の変化
 b 呼吸の変化
 c 妊婦の麻酔
2. 帝王切開術:脊髄くも膜下麻酔(+硬膜外麻酔)
 a 術前のチェックポイント
 b 麻酔方法
 c 脊髄くも膜下麻酔(+硬膜外麻酔)
 d 手順
 e 注意点
3. 帝王切開術:全身麻酔
 a 適応
 b 手順
 c 注意点
8
4. 腹腔鏡下産婦人科手術の麻酔:腹腔鏡補助下腟式子宮全摘術
 a 術前のチェックポイント
 b 麻酔方法
 c 手順
 d 注意点
5.脳神経外科の麻酔
1. 基本確認事項
2. 開頭腫瘍摘出術の麻酔
 a 術前のチェックポイント
 b 麻酔方法
 c 手順
 d 注意点
3. 覚醒下開頭術
6.耳鼻咽喉科の麻酔
1. 頭頸部手術の麻酔:成人の扁桃摘出術
 a 術前のチェックポイント
 b 麻酔方法
 c 手順
 d 注意点
7.泌尿器科の麻酔
1. 経尿道的手術の麻酔:経尿道的前立腺切除術
 a 術前のチェックポイント
 b 麻酔方法
 c 手順
 d 注意点
8.歯科口腔外科の麻酔
1. 舌部分切除術,頸部郭清術
 a 術前のチェックポイント
 b 麻酔方法
 c 手順
 d 注意点
まとめ 良い麻酔の基本ルール
 ひと休み一覧
 索引

見本ページ


準備中