■ 1章と2章では,検査の前に知っておきたい解剖の基礎知識と系統的走査法を簡潔にわかりやすく解説.
■ 3章と4章では,上部消化管と下部消化管の全122症例を紹介.
■ さらに付録として,レポートを書く際に必要な項目を食道,胃,大腸の癌取扱い規約から収載.
■ 写真352点 図版80点
消化管領域における超音波検査は,消化管疾患のスクリーニングから質的診断,急性腹症の検査・診断に至るまで,多くの有用な情報を提供してくれる検査法である.また,超音波検査の特徴である簡便性,非侵襲性,低コストの点からも,消化管疾患における画像診断として第一に選択される検査法としての意義は高く,21世紀における新たな医療が求められる中,その重要性は今後さらに増していくであろうことはいうまでもない.
しかし,超音波検査は検者の能力によって得られる情報に差が生じやすい検査法でもあり,「operater dependencyの高い検査」であるといえる.また,その技術の習得も容易でないことが現状であろう.このような中,「消化管超音波検査のスクリーニング技術から診断のポイントまでを確実にマスターできるようになる」,という思いを込め,ポケット版の「超音波消化管」としてまとめてみた.
本書の構成は,解剖と系統的走査法を初めに記載し,消化管の基本解剖,消化管超音波検査で一番大切なスクリーニング技術について学べるようにした.次に代表的な症例に対して分析的に解釈していくことで,根拠から導き出される判読ができるよう工夫した.可能な限りレントゲン,内視鏡,病理も対比できるようにした.また,巻末に癌取扱い規約を抜粋し,臨床に即した報告ができるようにした.
“学問に王道なし”であるように,超音波検査の習得に楽な道はなく,地道な努力が必要であることは十分に承知ではあるが,本書が消化管超音波検査に携わる皆様のために少しでもお役に立てれば幸いである.
最後に,本書の作成にご協力いただいた,成田赤十字病院のスタッフの方々に厚く御礼申しあげます.特に,平素よりご指導いただき,また加筆していただいた内科,伊能崇税先生に深謝いたします.
1章 消化管の解剖
消化管の解剖
食道の解剖
胃の解剖
十二指腸の解剖
回盲部の解剖
大腸の解剖
2章 消化管の走査法
食道・胃・十二指腸の系統的走査法
小腸の系統的走査法
大腸の系統的走査法
回盲部・虫垂の系統的走査法
正常消化管壁の超音波像
3章 症例編:上部消化管
食道裂孔ヘルニア
食道癌
頸部食道癌
胸部下部食道癌
胃・十二指腸潰瘍
胃潰瘍
十二指腸潰瘍
急性胃粘膜病変
胃癌
1型進行胃癌
2型進行胃癌
3型進行胃癌
4型進行胃癌
Ⅰ型早期胃癌
Ⅱc型早期胃癌
Ⅱc類似進行胃癌
Ⅱc+Ⅲ型早期胃癌
胃リンパ腫
胃リンパ腫
十二指腸リンパ腫
胃粘膜下腫瘍
胃GIST
胃脂肪腫
胃嚢胞
その他の胃疾患
胃アニサキス症
腐食性胃炎
胃蜂窩織炎
鳥肌胃炎
胃ポリープ